英会話講師雇い止め、無効判決=訂正・おわびあり

英会話教室「シェーン英会話スクール」で有期雇用契約の講師だったイギリス人男性(47)が雇い止めにあったのは不当だとして、運営会社を相手取って雇い止めの無効などを求めていた訴訟の判決が9日、東京高裁であった。村上正敏裁判長は雇い止めは無効として、原告の訴えを棄却した一審・東京地裁判決を取り消した。

 原告側の代理人弁護士が9日、厚生労働省で記者会見して明らかにした。判決によると、講師だった男性は2015年3月、1年間の有期雇用契約を運営会社と結び、16年にさらに1年間更新したが、17年に雇い止めとなった。

 訴訟では雇い止めの理由として、男性が約2年間で取得した有給休暇のうちの14日間が欠勤となるかが争われた。

 一審の地裁判決は、14日間は法律で従業員が自由に取得できる休暇分を超えており、男性が会社の許可を得ずに欠勤したとして雇い止めを認めた。

 高裁判決はこれを否定。会社側は従業員が自由に取得できる有給休暇と会社が指定する休暇とを区別していなかったなどとして14日間は欠勤と認められないとした。

 <訂正して、おわびします>

 ▼10日付社会面の「英会話講師雇い止め無効判決」の記事で、「坂本真紀裁判官」とあるのは「村上正敏裁判長」の誤りでした。判決資料の確認が不十分でした。

英会話スクール講師が逆転勝訴 会社の有給指定に反対、雇い止めは無効

Reinstated Shane Worker Cleeve

英会話スクールの男性講師が、不当な雇い止めにあったとして会社に地位確認を求めた訴訟の控訴審判決が10月9日、東京地裁であった。村上正敏裁判長は男性敗訴の1審東京地裁判決を変更し、雇い止めを無効として2017年4月からの未払い賃金(月額25万7800円)の支払いを命じた。

判決後、原告のアダム・クリーブさん(47)が東京・霞が関の厚労省記者クラブで会見を開き、「職場に戻ることを楽しみにしています。長い戦いでしたが、判決で正当ということが再確認できました」と話した。

●年間20日間全ての有給「自由に指定できる」

判決文などによると、アダムさんは2015年3月、「シェーンコーポレーション」(東京都千代田区)の運営する「シェーン英会話スクール」に常勤講師として1年間の有期雇用契約で採用された。雇用契約は1回更新された。2016年11月に育児休暇に先立ち有給休暇を取得したところ、会社側は認めず無許可での欠勤として評価。2017年2月28日に雇い止めされた。

同社の有給休暇は、年間20日間付与されていたが、うち15日間については会社側が取得する時季を指定して一斉に取得する計画年休としていた。5日を超える日数を計画的に付与するためには、労使協定を結ぶ必要がある(労働基準法39条6項)。

しかし、同社は計画年休に関しての労使協定を結んでおらず、アダムさんは「全国一般東京ゼネラルユニオン(東ゼン)」のシェーン労働組合の執行委員長として、東京都労働委員会に申し立てをした。しかし、その審議途中に勤務態度不良を理由に雇い止めを受けた。

高裁判決は、時季指定する15日間の計画年休について、会社が法定年次有給とそれを超える分の有給を区別することなく指定しており、「全体として無効」として、年間20日間全ての有給が自由に指定できると判断。

有給取得は正当な理由のない欠勤であったとは認められず、無断欠勤もストライキの実施によるもので「雇い止めをするかどうかの判断をする際に考慮に入れるのは相当でない」として、「雇い止めは、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であるとは認められない」と判断した。

●「同僚との団結が非常に重要」

代理人の指宿昭一弁護士は「全く当たり前だが、正しい判断をしている」と評価。同じく代理人の加藤桂子弁護士は「労働委員会での審議中に、会社の言い分が正しいことを前提に雇い止めをした。制度に乗っ取って話し合いをしていたのに、あまりに労働者を軽視する態度だった」と話した。

仕事を失いアダムさんは専業主夫となったため、保育園にも入れず、裁判にも長女を連れて臨んだ。アダムさんは「同僚との団結が非常に重要。組合に入ることで、会社側に説明責任を求めることができます」と話した。

●会社側「コメントできない」

シェーンコーポレーションは「担当者が外出しており、コメントできない」と話した。

弁護士ドットコムニュース編集部

High Court Overturns Shane Dismissal of Tozen Union Activist

The Tokyo High Court today (Oct. 9) overturned the lower court’s verdict in a dismissal case against Shane. The eikaiwa language school in 2017 fired Adam Cleeve, president of Tozen’s Shane Workers Union.

Tokyo District Court upheld the ruling and ignored union claims of strike-busting. Shane fired Adam in effect for actively participating in the union’s strike, a point not lost on the court.

Judge Murakami threw out nearly every one of Shane’s assertions, and invalidated their illegal designated paid leave system.

The court ordered Shane to pay all back wages from March 2017 until the verdict and to take Adam back to work. Shane is likely to appeal the Supreme Court, but that court is unlikely even to hear the case.

“I am excited to get back to work and resume our struggle for better working conditions,” Adam told reporters at a press conference after the verdict came down.

Tozen Union senior organizer Louis Carlet said, “A shout-out to all our members at Shane for their solidarity, tenacity and resilience thus far.”

“This is the first step in bringing about real change at Shane. Now is the time to recruit and build a force that can finally boost conditions for all teachers and counselors,” he added.

Tozen Shane Workers’ Union signs Labour Management Agreement with Shane Corp.

Welcoming in the Reiwa era and the new President of Shane, Ishitani Yuya, Shane Workers’ Union are pleased to sign a Labour Management Agreement in what is hoped to be a new phase of improved relations between the Union and the Company.

The agreement guarantees the working conditions of union members and agrees to use Company paperwork when converting to permanent employment.

The agreement also defines a set of rules for collective bargaining which lays the groundwork for improved negotiations and a more timely and forthcoming approach from management.

While some issues remain unresolved, notably the official labour dispute and charges of unfair labour practices against union members, this agreement is a very positive step forward and the Union believes it is only a matter of time before a suitable settlement is negotiated and normal labour-management relations restored.

組合活動した大学の外国人講師7人雇い止め「ユニオンの排除が目的か」弁護士が批判

東京・豊洲などにキャンパスがある「芝浦工業大学」で英語を教えていたが、3月末に雇い止めになった外国人の元非常勤講師7人が4月7日、厚労省記者クラブで会見を開いた。元講師たちは、カリキュラムの変更を理由に雇用契約が更新されなかったのは無効だとして、雇用の継続を訴えた。

7人は労働組合を結成して、大学側と労働環境の改善に向けた交渉をしていた。7人を支援する弁護士は「ユニオンを排除するためにカリキュラムを変えたのではないか」と語っている。

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