当委員会は、本日、標記の不当労働行為救済申立事件について、命令書を交付しましたのでお知らせします。命令書の概要は、以下のとおりです(詳細は別紙)。
1 当事者
申立人
全国一般東京ゼネラルユニオン、全国一般東京ゼネラルユニオンTGUISS支部
被申立人
国立大学法人東京学芸大学
2 事件の概要
平成26年4月、法人の附属国際中等教育学校で勤務する外国人の教員らは、申立人組合に加入し、申立人支部を結成した(以下、組合と支部とを併せて「組合ら」という。)。8月12日、組合らは、法人に対し、団体交渉を申し入れるとともに、団体交渉における使用言語を英語とすることを求めた。これに対し、法人は、団体交渉は日本語で行い、通訳者が必要な場合には組合らが手配すべきであるなどと回答した。
9月12日、第1回団体交渉が開催された。法人側は日本語で、組合側は英語でそれぞれ発言し、円滑に意思疎通できなかったため、組合から法人に対し、労使双方が互いに相手の言語を理解する者を同行させること等の提案もあったが、法人は、日本語による交渉と組合による通訳者の手配を要求するのみであり、使用言語等について合意に至らなかった。第1回団体交渉後、組合らは、法人が通訳者を手配することを要求事項に追加し、団体交渉を申し入れたが、法人は、日本語での交渉が成立しない場合、直ちに団体交渉を終了する旨を回答した。
27年1月23日、第2回団体交渉が開催されたが、使用言語等について双方の主張が一致しないまま、交渉は打ち切られた。その後、組合らの団体交渉の申入れに対して、法人は、日本語によるものでない限り団体交渉に応ずることはないなどと回答した。
本件は、26年9月12日及び27年1月23日の団体交渉並びにその後の法人の対応が、労働組合法第7条第2号の団体交渉拒否に当たるか否かが争われた事案である。
3 命令の概要(全部救済)
<主文(要旨)>
法人は、組合らが団体交渉におけるルールを交渉議題とする団体交渉を申し入れたときは、日本語による交渉並びに同組合らによる通訳者の手配及び同行という条件に固執することなく、誠実に団体交渉に応ずること。
文書の交付
要旨:法人が、組合らからの団体交渉申入れに対し、日本語によるものでない限り、また、組合らが通訳者の手配及び同行をしない限り、団体交渉に応じないとしたことは、不当労働行為であると認定されたこと。今後、このような行為を繰り返さないように留意すること。
前項の履行報告
4 判断のポイント
第1回団体交渉及び第2回団体交渉並びにその後の法人の対応は、自らの主張するルールに組合らが従わなければ団体交渉に応じないというものであり、合意達成に向けて努力したものとはいえず、また、このような法人の対応を正当化するような特段の事情も認められないことから、正当な理由のない団体交渉拒否に該当する。
※別紙 命令書詳細
問い合わせ先
労働委員会事務局審査調整課
電話 03-5320-6998、6988