置いてけぼりの夏の真ん中 ー2021盛夏、コロナとオリンピックの渦のなかでー Midsummer 2021 – Left to be sucked into the corona-Olympic vortex

奥貫妃文の詩。
A poem by Hifumi Okunuki.
(English is below the Japanese.)

いまは、いったいいつなんだろう。
ここは、いったいどこなんだろう。

東京都新宿区、奥神楽坂の我が家から歩いて3分。
中国人のジャンさんが営む中華料理レストランがあった。
私と夫は頻繁に通っては、裏メニュー「黒酢きゅうり」を頼んでいた。
2021年8月の現在、その店は、もうない。
夜遅くまで客足が絶えず、楽し気な声で満ちていた店は、真っ暗なまま。
がらんどうになった店の入口は、落ち葉の吹き溜まりになっている。
壁には「テナント募集」の張り紙。それもすっかり色褪せ、
今にもはがれそうにカサカサ、カサカサ、と音を立てている。
新しい賃借人が入るのは、いつのことになるだろうか。

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