Tozen opposes the bill to revoke the permanent residence permit 東ゼン労組は、永住許可取り消し法案に反対します

2024年5月30日

この法案を出して「共生」という言葉を使わないでください

―永住許可取り消しに反対します―

日本政府は、2024年2月「外国人材の受け入れ・共生に関する関係閣僚会議」で、「育成就労制度」の創設に加えて、永住許可要件を満たさなくなった場合の永住許可取り消しを検討する方針を決定した。これまで何ら議論もなされないなか、突如降って湧いて出てきたものである。しかし、あれよあれよという間にこの方針を盛り込んだ入管法改正案が5月 21日に衆議院を通過した。

国(出入国在留管理庁)の主張はこうである。

「育成就労制度の導入により永住権を取得できる外国人が増えることが予想されている。こうした中、永住者の一部が公的義務を履行していないとの指摘があり、永住許可制度の適正化を行うものだ」

具体的には、税金や社会保険料の納付を怠った場合、在留カードの常時携帯義務に違反した場合、住居侵入や通貨偽造など刑法で拘禁刑を受けた場合、などが想定されるという。

まず、永住者は、未だ始まっていない育成就労制度で働く外国人だけではない。現在、約90万人の永住者が日本に存在する。これは全ての在留資格のなかで最多である。永住者の人々は、永住者の在留資格を得るために、日本に馴染むために血の滲む努力をしてきた。いや、永住者になってからも、何かにつけて「ガイジン」扱いされ、日本社会との分断を感じさせられることが多々あるがゆえに、永住者の人々は、今でもなお、日本社会に受け入れてもらえるよう、日々努力を重ねている。日本語を必死に学び、日本の文化や慣習を理解し、日本社会の一員となれるようがんばっている。

多国籍労組「東ゼン労組」には、20年、30年、もしくはそれ以上、日本を終の棲家にすると決意した組合員たちが多数存在する。永住者を含む外国人の圧倒的多数は、自らも日本社会において、支え・支えられる一人の人間として認めてほしいと切に望んでいる。「共生」を渇望しているのは、他ならぬ外国人の方なのである。

国は「適正化」の名の下に、永住許可取り消しの法案を通そうとしている。これに先立って、ほとんど議論はなされていない。あまりにも拙速かつ乱暴に過ぎる今回の法案提出に、怒りを通り越して失望や悲しみを禁じ得ない。そしてしみじみと実感した。ああ、この国にとって、外国人の存在は本当に軽いものなのだ、と。

日本政府には、この法案を出しながら「共生」という言葉を使わないでいただきたい。この件をめぐりSNS等で、反対の声に対して「悪いことする気満々なんじゃないのか。ちゃんと法律を守っていたら、賛成するはず」「やましいことがあるから反対しているのか」等々の声が散見される。それらの声に対して言いたいことは、「永住者の人々は、特別扱いを求めたことは一度もない」ということだ。永住者の人々は、ただ、日本人と同じ扱いをしてほしいと思っている。ちなみに、税金や社会保険の未払いや滞納に関しては、現行法によって、日本人と全く同じ扱いを受けるのである。永住者だから脱税や滞納が許されているわけではないのである。外国人だからという理由で認められない権利はあれども、優遇されている制度は何一つない。それは永住者であっても例外ではない。

これは、社会の「公正」と「正義」の問題だ。日本社会、地域社会の一員として、公租公課を同じくする人々に対して、ある属性に対してのみ厳しい義務や罰則をつけるというのは、明確に不公正であり、不正義だ。「ガイジンだから、日本人にない義務を課すのは当然だ」と考える人がいるならば、それは「差別」である。私たちは、今回の法案提出は、国が先頭に立って差別を扇動するに等しい行為だと考えている。

日本で生活基盤を築き、何十年も日本で暮らしを営んでいる永住者の人々に対して、無限に厳しい管理・監視を続け、恐怖で支配しようとする今回の法案に、私たちは強く、強く、強く反対する。

全国一般東京ゼネラルユニオン(東ゼン労組)
執行委員長 奥貫  妃文