労働実態踏まえ社保加入認める…東京地裁判決

労働時間が正社員の4分の3未満であることを理由に社会保険の加入資格を失うのは不当として、東京都内の英会話学校に勤める男性講師が日本年金機構に加入資格の確認を求めた訴訟で、東京地裁は17日、男性は保険に加入できるとの判決を言い渡した。舘内比佐志裁判長は、労働時間だけでなく報酬額や職務内容などを総合的に考慮して「加入資格があった」と判断した。

原告を支援する全国一般東京ゼネラルユニオンによると、社会保険料の負担を抑えるために講師の労働時間を正社員の4分の3未満に抑える外国語学校が多い。

勝訴したのはカナダ国籍のコー・ヤンシーさん(47)。1998年に来日し、2004年から現在の法人に勤務。09年に「常勤の労働時間の4分の3を下回った」として加入資格を失い、12年に提訴した。image

こうした「4分の3ルール」は旧社保庁の80年の連絡文書に基づいており、原告側は「法律の定めがなく違法だ」と主張。判決は「生計を支える労働者を被保険者とする社会保険の趣旨に反しない」とこの主張を退ける一方で、男性の報酬が社会保険を支払う標準額を超えていることや労働日数などを総合考慮して加入資格を認めた。年金機構は「厚生労働省と協議し対応したい」とコメントした。【伊藤直孝】

Mainichi Shinbun