私の原点はマンハッタンデモ

全国一般東京ゼネラルユニオン(略称:東ゼン労組)

執行委員・主任オルグ ルイス・カーレット

1995年8月6日。アメリカによって日本に原爆が投下された日からちょうど50年。私はニューヨーク、マンハッタンのど真ん中で、反戦、反核を叫んでいた。私はその日のデモのために、渾身の力を注いでいた。アメリカでは、かつて日本に原爆を投下した事実についての認識が薄いこともあって、私は自らの使命の如くデモの成功に向け奔走した。マンハッタンの中央通りで大勢の仲間とデモ行進をしたことは、今でも昨日のことのように脳裏に刻み込まれている。

このデモ行進は、私が現在労働組合のオルグとしての活動につながっている。デモの成功で自分の気持ちに一区切りつけた私は、その翌月、かねてからの念願であった日本への移民を果たした。現在、日本での生活は20年目を迎えた。日本での最初の仕事は、全国紙の経済新聞での翻訳であった。良い同僚とやりがいのある仕事に満足していたが、その後、会社から雇用を断ち切られてしまった。そのときに出会ったのが、とある合同労組であった。これが労働組合との初めての出会いであった。

その後、私はボランティアで組合活動に従事するようになった。一人では弱い立場にいる労働者が団結の力を知り、徐々に強く自らの権利を訴えていく姿に感動し、大きなやりがいを感じるようになった。やがて、私の活動の様子を見ていたその合同労組のオルグが、「僕はもうすぐ退職するんだけど、君は労働組合のオルグにピッタリだ。ぜひ僕の後を継いでオルグとして働いてくれないか。」と頼んできた。私は、二つ返事で了承した。

2010年4月25日。専従で働いていた合同労組から分離独立して新しい労働組合を立ち上げた。名前は、全国一般東京ゼネラルユニオン、略称は東ゼン(とうぜん)労組である。東ゼン労組の特徴は、多国籍、多民族ということ。現在の組合員の国籍は25にも及ぶ。あとは、組合内民主主義と組合財政の透明性を徹底させていることである。現在、組合員は225人になった。結成当時から比べれば倍増しているが、まだまだこれからだと思っている。これからも、「労働組合は“とうぜん”だ!」を合い言葉に、団体交渉やストライキなど、労働組合としての真っ当な活動を行い、労働条件の維持向上に向けて頑張っていきたい。


Originally published on 28年11月14日 via 労働新聞