緊急事態宣言の期間中、休業手当を全額支払う会社は少なかった。
それにも関わらずシェーン英会話で知られるシェーンコーポレーション(以下、「シェーン英会話」)は、講師に対し休業中の2ヶ月間、賃金の全額を支払った。これは一見会社としては実に誇らしいことであり、労働者を尊重した会社に見えるだろう。
しかし現状は、従業員の同意なしに賃金から天引きをしたり、無給の残業をさせようとしたりと、悲惨な状況である。
東ゼン労組シェーン労働組合の組合員数は、6月24日時点で20名であったが、それから約1ヶ月間で71名と、3倍以上にまで急増した。
そして今日、東ゼン労組シェーン支部の組合員41名がストライキを決行した。
これはシェーン支部史上だけでなく、東ゼン労組の歴史の中でも最も大きなストライキといえる。
これまで組合側は、スクールカウンセラーたちの労働環境の問題を数多く耳にはしてきたが、なかなか組織化して闘おうと言い出すカウンセラーはおらず、ストに関してもとても消極的であった。そして今回初めてカウンセラーが組合に加盟し、ストに参加した。0から1を作り上げることは容易なことではなく、こうしたプレッシャーを乗り越えてストに参加したことは素晴らしい英断といえよう。
シェーン英会話は6月末、講師に対し2つの選択肢を提示した。
1つ目は、休業分に支払われた給料の約半分を今後の給料から天引きするが、緊急事態宣言発令前の従来の勤務日を保持し、休業中に行われなかったレッスンの補講の義務を負わないというもの。
2つ目は、休業分に支払われた給料の全額を保持する代わりに、休業中に行われなかった分のレッスンを補講することによって、相殺するというもの。つまりは賃金の前払いである。
しかし、選択肢1は労働基準法第24条にある通り、全額払いが原則のため、合意無しに給料から控除することはできない。選択肢2においては、労働基準法の第17条「使用者は、前借金その他労働することを条件とする前貸の債権と賃金を相殺してはならない。」に反するものである。
そして信じがたいことに、1も2も選択しなかった従業員に関しては、自動的に選択肢1を適用するとシェーン英会話は講師たちへ伝えた。これでは従業員たちは、2つのうちのどちらかの選択肢を強要されていることになりかねない。
東ゼン労組シェーン支部の組合員たちは、この選択肢をどちらも拒否すると回答し、組合員の多くが各スクールで従業員代表選挙をし直し、給料の天引きを拒否する意をシェーン英会話に対して表明した。
それでもなお、シェーン英会話の経営側は、このコロナの休業の賃金や勤務日に関する労働協約の締結を拒み続けている。
そしてついに、スクールカウンセラーと講師陣、シェーン英会話で働く労働者たちは立ち上がり、大規模ストライキを決行した。
先日、Yahooニュースにも、今野晴貴氏によるシェーン英会話大規模ストが記事に取り上げられ、Twitterでは700件以上もリツイートされている。中にはシェーン英会話に通う生徒からも、講師たちの現状を変える行動を起こしたいといったような声も上がっている。
https://news.yahoo.co.jp/byline/konnoharuki/20200707-00187003/
休業手当は「借金」だった? シェーン英会話講師が怒りのストライキ
コロナの問題以外にも、シェーン英会話と組合の間にはまだまだ数え切れないほどの問題があるが、8月15日が次回の給料支払日ということもあり、これは一刻を争う問題である。